「女性徒・1936」Coment of 幻野映画

試写会等での感想





「美しく生きたいと思ひます。」
「美しく生きたいと思ひます。」というのは、『女生徒』の中に出てくる1行ですが、この世の中で美しく生きていくということは、何とも孤独で、困難な生き方であることか。しかし、『女生徒』だけでなく、この映画の中の4作品全ての女性たちは、不安を抱きながらも、毅然として、美しく生きていくことを決意しています。4作品を1本の映画にしたのは正解だったと思います。
簡潔で、透明感のある美しい映像は、こうした若い女性の独白というこの作品の特徴と見事に調和していて、さらには、明るく軽やかで、また素朴でもある音楽がとても効果的で、映画全体を瑞々しくしていると同時に、力みはないのに強い意思が感じられる世界を創り出しています。
それにしても女性に扮したときの太宰は、気のせいかとても饒舌で、生き生きしているように感じます。(60代男性)

80年も前に放たれて太宰の言葉の矢が、現代の女生徒たちの胸を射る。
君は息切れしていないか?
君は飛びつづけていられるか?
そして好きな人に正直に好きだときっぱりと云えるか?
しかも何より生きている確信がコトンと自分の中で落ちる音を聞いたことがあるか?
福間雄三監督の『女生徒・1936』は、そんな魂の息吹の落ちるコトンという音を正確に再現した。1時間45分。太宰のキラキラした言葉を浴びながら、男も女も昔々に忘れてきた、あの懐かしくて恥ずかしいこころの襞を思い出すだろう。生きてしまうことは、恥を毒矢に変える力をもつことでもある。
太宰治という毒の塗られた矢は、この『女生徒・1936』という映画によって、生きている確信へと変色し、観た者の心に確実に突き刺さるのである。(田中じゅうこう・映画監督)

『女生徒・1936』、ボク、けっこう好きです。燈籠、きりぎりす、よくまあこんなにまっすぐやると戸惑いながらも、ひさびさに太宰はいいなーと受け止めるのは楽しかった。太宰は一人称の短編は音読、よみながらセリフのように書いたそうですね。ちょっとムリしてかっこよく言わせてもらうと、作品自体が、文学のなかの肉体性を捉えなおす(ための)テキストになっていると思いました!
(若木康輔・ライター)


・内容については、4つの物語の繋がりもとてもスムーズに感じました。セリフも聴き取り易く、字幕の入れ方も独特だと思います。場面毎のロケ場所もとても気に入りました。良い雰囲気の場所がよく見つかったなと感心しました。(50代男性)


・太宰の短篇を作品が書かれた時代の中に読み解くことで、<あの>時代をあぶりだそうという(さらに太宰作品をも読み直すことにもなる)試みは非常に面白いものでした。(60代男性)


・美しい作品でとても感動しました。たくさんの女性に観て頂きたいなと感じました。(20代女性)


・素晴らしい作品で、いつの間にか、ひとりの観客として見入っていました。(20代女性)


・太宰治の素晴らしい文章をそのまま用い、シーンの色合いや音楽・空気感が本当に素敵で、この二人のヒロインも透明感と凛とした感じが秀逸、太宰の作品を改めてじっくり読んでみたくなりました。(40代女性)


・簡潔で、清々しくて、美しい映像は、若い女性の複雑で難しい心のうちを語らせる小説の世界を表現するのに、とてもバランスがよく、いい映画になっているなと思います。太宰の小説を読んで思い描いていた感じと、違和感なしで見ることができました。限られた予算の中で、よくここまで小説の世界を忠実に映画化できたものだと驚いています。美しい映像のほかにこの映画で印象深く感じたのは、音楽と字幕の効果です。この映画は、せりふがほとんど一人語りというか独白で、あとはナレーション(朗読)が多いので、単調になったり、重く沈んだ感じで推移してしまいがちなのを、音楽や字幕が映画にメリハリをつけ、いい効果を出していると思います。見ている者も気分転換ができます。特にリコーダーの音の明るさ、強さ、ストレートな響きが印象的で、「女生徒」などでは大きな役割を果たしていると思います。(50代男性)


・世界観がしっかりしていて近年にない傑作です。(60代女性)


・しずかで綺麗な、とてもいい作品でした。(60代男性)